月2回の土曜休日というのに、生徒会室では朝から4人が集まり、溜まっている雑務を黙々とこなしていた。
夏であれば校庭から運動部の生徒が声をはりあげ、音楽教室からはそれに負けじと軽音部のドラムやエレキの練習をする音が聞こえるのだが、冬場の休日はサッカー部がボールを追いかけているくらいで、ほかに人影は見えない。
宿直の先生も朝がた職員室で1度顔を見たきりで、見回りをしてるかどうかもわからない。
キーンコーンカーンコーン
「あら、もうお昼ね。今日はこのへんにしましょう」
昼休みを告げるチャイムが流れたのを合図に、綾子が書類をまとめながら言った。すると七枝がポンと手を叩いて思い出したように言い出した。
「そうそう、駅前に新しい喫茶店が出来たんですよぉ。
ランチが美味しいって評判なの♪ みんなで一緒に行きませんか?」
「いいわね。パソコン部もそろそろ来るころだから、計画書を受け取ったら行きましょう。
ふたりもいい?」
綾子が中島と初美にたずねる。と、ドアをノックする音が響いた。
「ウワサをすればなんとやら、ね。七枝、お客さんを入れてあげて」
「は〜い」
ドアに一番近い所にいた七枝が椅子からピョンと飛び降りてドアを開けた。
「パソコン部さんね?……どうぞぉ」
「失礼しま〜す」
パソコン部の部長が部屋に入ると、続いてどやどやと数人の生徒も生徒会室に入ってきた。パソコン部の部員なのだろう。帰るところなのか、大きなバッグを持った生徒も数人いた。
「あらあら大勢で」
「部の一大事だからね」
だが、部屋に入ってきた生徒たちに綾子は見覚えがあった。不良グループの一員だ。
「まさか……あなたたち本当にパソコン部なの?」
「鋭いね。さすがは生徒会長」
綾子の近くに寄ってきた男が手を上げると、それを合図に男たちが動いた。
「きゃぁ! 放して!!」
「お前らぁ!」
「い、痛ぁい!」
何が起こったのかも分らないうちに少女たちは男たちに押さえつけられてしまった。
椅子に座っていた初美は背後から腕ごと胴を抱きすくめられて椅子に押し付けられている。
立っていた七枝はうつぶせに机に押し付けられ、腕を後ろにひねられている。
生徒会で唯一の男である中島には3人がかりで押さえられ、動きを封じられた。
「や、止めなさいっ!!」
綾子も伊藤ともう一人に腕と肩をつかまれて机に身体を押し付けられた。身体をゆすって逃れようとしたが、男が2人がかりで来られては何もできない。
「くっ こ、こんなことをしてタダで済むと思ってるの!?」
「ふふふ、タダで済まないのはどっちかな?」
伊藤と男は力ずくで綾子を椅子に座らせ、腕を後ろにひねって動きを封じると、男が綾子の胸に手を伸ばしてきた。
「あっいやっ さ、触らないで! ああっ!」
「綾子さん!」
「あやちゃん!」
「きさまぁ!」
綾子の胸元に男の手が忍びこんでいた。二人がかりで押さえつけられ抵抗ができないをいいことに、しっとり重さを感じさせる乳房を揉みしだいていた。
「くぅう! んんっ」
初めての乱暴な愛撫に屈辱の涙をぐっとこらえる綾子。こんなやつに涙を見せたくない。
「ふふふ、いい画が撮れましたぜ」
「あ!」
いつのまにか、男の仲間の一人がビデオカメラを抱えてレンズを綾子に向けていた。
「そら、逆らうとこれがネットのエロ掲示板にアップされるぜ」
そう言って綾子にカメラの液晶モニターを見せた。そこには乳房を揉みしだかれて瞳に涙をためている綾子の姿が鮮明に映し出されていた。
「後でもっといい絵を撮ってやるからなぁ せいぜい良い声で鳴いてくれよ」
男が綾子の耳元で囁く。
「ひっ卑怯者! こんなことをして後でどうなるか分ってるの?」
「ぷっ」
「ひっひっ」
「くくく」
「な、何が可笑しいの! 先生に訴えて、あんたたち、全員退学なんだからね!」
「くはは、面白い冗談だな。だけど、もう少し他の人の意見も聞いたほうがいいぞ」
「え?」
「つまりだ、こちらのお嬢さんたちの意見はどうかな?ってことだ。
なにしろ、ネットの裏アイドルになるのはあんただけじゃないんだぜ」
「あ!!」
綾子が、そして初美と七枝も息を飲んだ。
綾子だけでなく、初美と七枝の陵辱画像がインターネットに……
「い、いやぁ……」
「ゆ、ゆるして! お、お願い……」
初美と七枝は恐怖に全身を震わせながら綾子と男の方を見て首を横に振る。
「くっ……」
(自分だけなら我慢もできる。人の中傷やなにかも耐えてみせる自信がある。でも……)
「分ってくれたかな? あんたたちはもう抜け出せない罠に掛っちまってるってことが」
「く……う……」
「綾子さん……」
「あやちゃん……」
「会長……」
3人が綾子を見つめている。少女たちの目には哀願の色が浮かんでいた。もう降参するしかなかった。
「わ、分ったわ! あんたたちの好きにしなさい」
「ふふふ、賢い選択だな。さすがは生徒会長」
綾子が抵抗を諦めたようなので、男は立ち上がった。
「そうそう、あんたは分ったようだが、自己紹介しとこう。
俺は不良グループのリーダーで、ここにいるのは俺の手下たちだ。
「なんだって!」
この学校の不良グループの悪行は前の生徒会長からいろいろ聞いていた。取り壊された旧校舎をアジトにしていたとか、校内で売春行為をしているとか。
被害にあった生徒は皆泣き寝入りをしてしまって、その実態はほとんど掴めていなかった。
綾子や中島たちも取締りについて生徒指導の教師と協議しているところだったのだ。
「伊藤!きさま不良の仲間だったのか!」
「おっと、勘違いするなよ。俺たちはパソコン部とは関係ねえ」
「え!?」
「ここに入り込む口実に、この部長さんに話を持ちかけただけだ」
綾子の横にいるパソコン部の部長もウンウンとうなづいている。
「おまえら生徒会が俺たちを締め付けようとしてるのは知っているからな、先手を打たせてもらったぜ」
「く、くやしい……」
「ま、そんなわけだから、これからは仲良くやってこうぜ。お互いの楽しい学校生活のためにもな」
言外に脅しを入れながら、リーダーは綾子の肩をつかんで引き寄せた。もう逃がさないぜ、と言わんばかりに。
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